味が覚えていること

先日、旅先の道の駅で天日干しの高野豆腐を見つけました!
ひとつひとつ藁で縛ってある高野豆腐はどうみても人の手仕事です。
重層を使わない高野豆腐は食感がしっかりしているので、
煮しめにするとボリュームがあります。
”もどき料理”というジャンルで言うと鶏肉、といった感じです。

高野豆腐は保存ができるので重宝する食材です。
東日本大震災の後、備蓄を心がける方が多くなりました。
新聞では防災に対するプロフェッショナルな方々のアドバイスや知恵が特集されるようになりました。
私は「循環備蓄」を取り入れるようにしています。
乾物など日持ちのする食材を備蓄し、期限が近くなったら災害に見舞われなかったことに感謝していただくというものです。
しかし食材は非常時の時だけのものとしないことが大切です。
普段から乾物などを使ったお惣菜の美味しさに慣れていないと、災害時の不安の中でいつも慣れ親しんだものが食べられないとなればストレスは倍になってしまいます。

高野豆腐の思い出。
父が突然亡くなったのは、私が中学1年生の冬でした。
その頃は町内のおばさんたちが集会場になっていた古民家で炊き出しをしてくれて、お通夜の晩から葬儀まで食事の支度をしてくれるのです。
家族だけでなく弔問に訪れた親戚、知人全ての食事を賄ってくれました。
その時に出た煮しめの味を今でも覚えています。
じゅわっと出汁が染み込んだ高野豆腐が優しい涙の味のように感じました。
家族の為に作る料理には母性があふれています。
この母性は冷凍技術や機械を使った料理では味わえないもの。
町内のおばさんの優しさが、言葉でなく高野豆腐から伝わってきたのです。
他の何も覚えていないのですが高野豆腐の味だけを覚えています。
私は自分や家族の気分が落ち込んだ時、
悲しい時には野菜の優しい甘さをじゅわっと染み込ませた高野豆腐の煮しめを作ります。

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