和久井ガーデンの四季6
みなさんごきげん如何ですか?
またまたご無沙汰してしまいました。
本当はもっと早くアップしていきたかったのですが、坂口導師の指導を受けて,しっかりマスターしたつもりでいた写真のアップの仕方を
暫らく休んでいたあいだに、鳥頭の私はコロンと忘れてしまい、再び多忙な師の教えを請うて、ようやくブログ再開に至ったという訳なのです。
こいうコンピューターの操作、すんなり出来る人と出来ない人の違いって何だろう。
得手、不得手とか得意、不得意などというけれども、それ以上に人の持つ能力の違いというものあるように思いませんか。
たとえば私は庭師にはなれたけど、大工の棟梁には絶対なれなかったと思うわけです。
こう見えても私、自分の家とか小屋とか何とか見よう見まねで建てているのですよ!
だからといってプロになれるかというと、それはまるで違う話で、少しばかりかじったからこそ見える高い壁がそこにあるわけです。
一人前の大工ともなると、墨付けや割付けひとつとっても高度な計算能力を要求されるし、複雑な木組みや組み手(ジョイントワーク)などにおいては3手~4手も先を読み
頭の中で3Dでイメージできる想像力を必要とされるわけです。
建前なんかではあなた、柱一本寸法間違えて短かったも、大変なことになっちゃうわけですからね。
その点、我ら造園の世界はお気楽なものでして、垣根の高さが3寸低くたって、世界がひっくり返っちゃうことはないわけです。
たいていの場合は、親方 おい!ちょっとためて見てくれや! 弟子 ”なから”じゃないですか!で済んじゃうわけです。
(”なから”とは、このあたりローカルエリアのみで通じ合う便利な言葉で、いい加減、または、よい加減ともいえる。)
・・・・・・・庭師でよかった!
ま! 庭師にはまた別な才覚というものが必要とされる、ということにしておきましょう。
さて和久井ガーデンも”なから”がほどよく積み重なって現在に至っているようなものです。
まごまごしているうちに、お庭のBest seasonが過ぎてしまいましたが、撮りためておいた画像をご覧ください。
木漏れ日のような、 午後の光の当たり方が面白くて、気に入っている一枚です。
日中は光が満遍なく当たってフラットな景色ですが、早朝や夕暮れ、特に黄昏時の庭が私は好きです。
紫や白の花が、なにか妖しく浮き立ってくるんですね! う~ん・・・解かるかな?こういう感じ?
なんてね!
とにかく庭は、その時間の経過にしたがって刻々と表情を変えます。
写真家のアンドリュー・ローソンは、そういう庭の微妙な一瞬の光を捕らえたくて、自宅に庭を造ってしまったという話です。
BIZU に載っている彼の写真を見ると、納得できます。
僕のデジカメではちょっと無理かな? もちろん腕の問題でしょがね!
猫のシャガはいつも何か狙っています。
シモツケ・ゴールドマウンドにいい感じの光が当たっていますね。
錆びた鉄の椅子に絡むクレマティスは、ヴィチセラ系のマダム・ジュリア・コレボンといいます。
我が家にはあまり似つかわしくない、ちょっとセレブな名前ですが、生育旺盛で、丈夫な新枝咲き系でほおっておいても毎年よく咲いてくれます。
錆びた鉄の椅子はインド製です。鉄は錆びてたほうが、にわにわにわっています・・・・・ウン?
クレマティス2種類が絡んでいるこういうオブジェを、オベリスクといいます。ヒノキの枝で作りました。
ヒノキは国産材の中でも、一二を争う、丈夫で腐りにくい木です。
プリンセス・ダイアナという、花つきもよく、花期も長い、最も人気のある品種の一つだそうです。
今はもっとよく咲いているよ!
これは”ジャックマニー”?・・・・だと思います。これもポピュラーな品種です。
クレマティスは、花色や花形の異なる品種を組み合わせたりすると、より豊かで華やかな感じになります。
私はコレクターではありませんが、クレマティスに限っては、もう少し集めてみたいものです。
”ジギタリス・スノーシンプル”去年の苗が宿根したものはこのように立派になります。
他の宿根草は殆んど無肥料ですが、これにだけは、油粕を醗酵させた液肥をあげました。やはりジギタリスはど~んと大きい方がカッコイイものね!
ターシャチューダのジギタリス、人の背丈ほどあるのを本で見ましたが、厩肥(家畜の糞)の液肥をやっていたそうです。
黄昏時、紫色や空色がうきたってくる。
何度も登場する和久井ガーデンの”ギガンチウム”ですが他の宿根草にはない存在感があります。
アフロヘアーのようなこのもじゃもじゃは、アリウムの仲間のねぎぼうず、巨大な球根です。
咲き終わって地上部が枯れたら、一旦堀上げて保存し、秋にまた植えるという結構手の掛かるやつです。
そうしてあげると、球根が一個ずつ増えていくるのだそうです。
我が庭では今まで植えっぱなしだったので、だんだん痩せて小さくなってしまっていたのです。
これを畑で作っている農家のおばちゃんに聞いたので、信頼できる情報です。
知らなかった!
草花に興味のない人には少し退屈でしょが、もう少しこの時期の宿根草を紹介しますね。
”キョウガノコ”綿菓子のようなこの花、古くから茶花としても親しまれています。
同じグループ(Hilipendula)の”オニシモツケ”なかなかでしょう!
ベンケイソウに来ているのは何蝶ですか?なんとか豹紋?
どなたかご存知ですか?
モナルダ(たいまつ花)の蜜には黄アゲハ?ですよね。
これはモンゴルの飼い葉おけです。イギリスではトラフといって多肉植物をアレンジしてるのをよく見かけます。
和久井ガーデンはタイムなどのハーブ類とキウリとゴーヤが植えてあります。コンパニオン・プランティングの実験のつもりです。
メインガーデンとバックヤードを仕切る板塀と木製扉、上半分はホームセンターなどで売っている5ミリのワイヤーメッシュはめ込んでいます。
一年前に植えた、ツルサマースノーやポールズ・ヒマラヤンムスク、グラハム・トーマスなど香りのよい品種が茂ってきています。
今はゴーヤが絡み始めています。
このようにバックヤードとの境をしっかり分けることにより、お庭にメリハリがでてくるように思います。見せたくないごったくも隠せるしね!
サインボードには、Dont, look at my backyard!とあります。ジョークのつもりで書いたのですが、このあいだ見学に入らした92歳のおばあちゃんが
何か覗いちゃいけないものがあるの?と、のたまわりました。 すごい! わかってたんだ!
次回はみなさんにもお見せしますよ!
突然ですが、これ何だと思いますか?
これマルベリー、桑の実なんだよね。大きいでしょ!
これで毎年ジャムを作っているんですがね、このヘタを取るのが大変なんだよね!
でもこの香りと美味しさは、独特で止められません。和久井ガーデンブランドジャムの代表の一つです。
さて、あまり長くなると飽きてしまうのでこの辺にしておきます。
ところで私、和久井は今年から、仕事としての庭造りは極力減らしていく変わりに、和久井ガーデンの充実に力を注いでいこうかと考えています。
つまり私は和久井ガーデンの”お抱え庭師”となる訳でありますよ。いいでしょ!
これはもう究極の世界でありまして、イギリスではトーマス・リプトン家かエルトン・ジョン家の専属庭師になるようなものですから。
古いところでは”チャタレー婦人の恋人”になるという事なのですよ!・・・・・(この本読んでないと解からないと思うけど)
自分ちのお抱えになるのだから、残念ながら本のようなハプニングはないと思うけど。
いずれにしても、一つのお庭で年間、四季を通して手入れし続けるというのは、庭師にとって究極の愉しみではないのか、とこの年になって思うようになったというわけです。
何を隠そう、今を去ること40年前、私はアメリカはオレゴン州・ポートランドの日本庭園(海外の日本庭園としては名実共にNO,1との評価がある)のヘッドガーデナーとして
専属契約していた時代があっったのですよ。
話せば長くなるので(すでに長いか?)要点だけ話すと、私の師匠である自然風庭園の大家、小形研三の下での修行時代、5年目の私の給料は5万円でした。
The Japanese Garden Sosiety of Oregonでの初任給が日本円で50万円程だったのを記憶しています。
世界中から年間25万人以上の入場者のある、日本庭園のヘッドガーデナーという名誉ある恵まれた仕事にもかかわらず、若くて愚かであった私は(今はどうなのかと聞かないでください)
それが退屈で仕方なかったわけです。
1975~6年のアメリカといえばヒッピー文化の全盛時代であり、私などは、もろその影響を受けているわけであります。
それで3年間の契約も待てずに、南米に向けて半年ものバックパッカーひとり旅に出てしまうわけなんです。
今思うとなんてもったいない!というか愚かというか、その仕事、今私したいです!本当に!
でもこのオジサン、何故かこのときの旅のスタイルを60を過ぎた今も引きずっていて、いまだに重いバックパックを背負ってかみさんと二人、アジアの安宿を泊まり歩く旅を続けているのも何かの因縁でしょうか?
このことはいずれ、バガボン和久井”庭の旅”シリーズで紹介していこうかと考えています。
というわけで、誰も私を、お庭番として雇ってくれないので、和久井ガーデン専属で働く事にしました。
給料は出ないので、どうにかしなければいけません。
次回はそんな和久井ガーデンが今後どのように自立していくのか?などを踏まえ、いったい何を企んでいるのか、その全貌を明らかにしていきたいとおもいます。
う~ん!おもしろくなってきたぞ~!って 面白がってるのはお前だけだろ!