鮎川&シーナWOOD



鮎川誠旅立つ

まさか鮎川さん、膵臓癌だったとは・・・めちゃ寂しいです。
病を公表せずにライヴしてたとは・・・凄いミュージシャン魂!

凄~く濃い思い出あるんです。
30年前1993年の、今となっては伝説的な
フジテレビ深夜音楽番組『WOOD』で
Rolling Stonesの数曲を新たな解釈で編曲!ということで依頼され
鮎川誠&シーナのヴォーカルで収録し、
僕は編曲し同時にギター、グロッケン、パーカッション、
コーラスで出演もした。
番組の趣旨はアンプラグド時代の感じで、ダビングなし、全部せ~ので撮り録り、
アコースティック楽器のみ使用、その場でのスタジオ・ライヴ方式。

下北沢のダーツバーで最初の顔合わせ、そして鮎川さん宅で打ち合わせ。
鮎川さんが「衣装はライダーズ革ジャンにしよう」と。
僕は「持ってません」鮎川さん「僕のがいくつかあるからそれを貸すよ」と。
リハスタで僕のサックスカルテット編曲を聴いて、鮎川さん
「そうじゃなくて普通にストーンズをやろう」、
僕「普通はつまんない、変えたい・・」と平行線だった。
リハスタはまあまあ修羅場。
結局はアコギのキープリズムをがんがんこないと歌いづらいというあたりから
折衷案に落ち着き、自分のヴィジョンは崩れたがまあ収録は楽しく終えた。
鮎川さんも僕も同じR.Stones愛は変わらないのだが、アプローチは異なった。

シーナ&ロケッツはテクノ的な部分も取り入れてヒット曲してたが、
本質的には完全にロックンロール、ブルースの鮎川&シーナだった。
ベテラン、大御所だが業界的なビジネス感覚より
真っ直ぐなロック愛に溢れていた。温かい人柄でした。
鮎川さんのキース・リチャーズ風をマスターした
オープンチューニング5弦ギターは素晴らしかった。

ロック的な僕のコーラスを「周防君いいよ!」と誉められたが
その後、別の機会でお会いした時に「もう周防君のアレンジではやらないよ!」
と言いつつ熱い握手を交わした。いい感じです、これ。
音楽の真剣勝負なのでしょうがないです。
まあ僕も突っ張って攻めのサウンド求めてたので、
ちょっとだけ反省してます。
鮎川さんは武満徹遺作の『ファミリーツリー』(1996)の詩的な映像ドラマに
出演されている。
シーナさんも数年前に他界されてるし、2人のロック永遠なれ!です。

写真は1993年の『WOOD』テレビエアチェック画像より。