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August 2020 の投稿一覧です。
カテゴリー: 音楽
(2020年08月31日)
投稿者:suoyon
LIVEEVIL (1)



『LIVE EVIL』Miles Davis 1970年レコーディング。

サックス奏者のスティーヴ・グロスマンが8月13日亡くなったらしい、69歳、残念です。
そのスティーヴ・グロスマンが参加してる『LIVE EVIL』。

マイルス・デイヴィスは『Bitches Brew』を1969年8月にレコーディングして
この新たな音楽に自信を深めたのだろう、次々にライヴを展開する。
そしてメンバーも入れ替わるが、異なるメンバーでも凄い演奏、
1970年末のライヴと1970年1月のスタジオレコーディングを2枚組にした
『LIVE EVIL』はライヴの凄い迫力とスタジオ曲ではWeather Reportのような
雰囲気を醸し出している。

なによりこのジャケット、『Bitches Brew』を描いたMati Klarweinのペインティング。
インドの様式美に近いらしい。
お腹の大きい美しい黒人女性のほう(右)がジャケット表で裏に当たる表4(左)が、
醜い金髪で白い肌のモンスター。マイルスも黒人としてのプライドが誰より高い人。
Black Lives Matter

演奏ではベースのマイケル・アンダーソンが凄い。この人、全くジャズの人じゃない。
これ以後このベーシストがずっと務める。
ディジョネットとアンダーソンのグルーヴは必ずしも合ってはいないので、
アンダーソンの場合はアル・フォスター待ちということになる。
そしてここではキース・ジャレットのエレピ、それもエフェクター付き、
が凄いグルーヴ感を見せる。マイルス・バンド以後はエレピはまず弾いていない
と思うので今となっては貴重かも。チックとかハンコックほど和声的なレベル高くないので
逆にシンプルに聴きやすいとも言える。

ジョン・マクラフリンのギターはここでも凄すぎ。
勿論マイルスのトランペットも絶好調!もう夜店で酒のツマミのジャズ音楽からは
完全にさよなら、ワウペダルも多用し、同じ音での音色変化でまるで
パーカッションのようなフレーズだったり、
これは上手いとは言えフレディ・ハバードにはない発想。
先駆的にそういうところに行けるというのがアーティストだと思う。

ソプラノサックスはスティーヴ・グロスマンはスタジオ曲に参加。
この時期はデイヴ・リーヴマンと並んで注目の若手だった。
そして『LIVE EVIL』にはゲイリー・バーツというアルトとソプラノの
持ち替えのサックス奏者が登場、ここでのライヴ曲はバーツ。

そしてこの後のマイルスでは『On The Corner 』が面白いし凄い。
『On The Corner 』はクラバーやヒップホップから再評価されたというのも興味深い。
カテゴリー: 映画音楽
(2020年08月27日)
投稿者:suoyon
太陽の子


終戦記念日の8月15日NHKでオンエアされた
ドラマ『太陽の子』(作演出:黒崎博)は
戦時中、原子爆弾の開発を研究する京都大学の
若き研究者の苦悩、戦争に翻弄される人達を描いた話。
日本も原爆作ろうとしてたんだ。
ただ現実的にはウラニウム等の調達が不可能になりできなかったらしい。
それで良かったです。
そのことはさておきドラマの音楽がニコ・ミューリーだったので留守録して観た。

ミューリーはケイト・ウィンスレット主演の『愛を読むひと』で
素晴らしい音楽を書いてる現代音楽シーン注目のコンポーザー。

『太陽の子』では80分の劇中に19の音楽を作曲、
ほとんどが短い曲だがどれも凄く丁寧でレベル高いサウンドを構築している。

映画音楽ドラマ音楽というと一般の方々には結局は親しみやすいメロディ、
情緒的でキャッチーなテーマメロ、っていうことになるが、
そしてそれを否定はしないが音楽の楽しみ方としては残念ながら非常に狭い。
やっぱ売れ線のメロディなのね、
っていうのが音楽の価値観を画一的にしてしまうのがつまらない。
メロディ、メロディだけじゃない楽しさ、ちょっと知的な音の秘密、
みたいなところにも興味示していただくと広がるが、難しい。

ニコ・ミューリーの音楽はそれを完璧に表現、
つまりキャッチーで情緒的なメロディとか一切ないサウンドでつけていて、
でいて昔の世代の現代音楽の無調の観念的な感じ、
アタマで考えただけのリアリティなき音楽でもない柔らかさがある。
これは新しい世代のコンポーザーであり、
クラシカルでも昔のクラシックの下品なベタで臭い付け方もなく、
音楽による知的な価値観を柔らかく新たに表現できる人かもしれない。
エンタメ的というよりアートな方向・・・でもエンタメっていつも
その前に超マイナーだったりアヴァンギャルド、アートだったりしたものが
エンタメに取り込まれるし、王道とかクラシックだけではエンタメは
足りないんです、多分・・・それがひとつの進化かもしれない。

内容は
シーンのセリフの中からいつのまにか音楽入ってくるタイプは多い。
オーソドックスなセリフ受けの音楽スタートでは、
國村隼扮する科学者のセリフ「世界を変えたい」を受けての音楽。
柳楽優弥扮する若き研究者のセリフ「いっぱい未来の話しよう」を受けての音楽。
「次に(原爆)落とされるのは京都という噂があるんや」の辺りからの音楽
などがあった。
また「硝酸ウランや」後のチェレスタでの神秘的なムードはとても好き。
楽器は大編成ではなくピアノ、バイオリン、チェロ、グロッケン、
チェレスタ、パーカッション、シンセ、等と思われる。(多少違うかも、すみません)

國村隼のセリフに「この戦争に大義があるとは思えない」は重い言葉。
また主人公シュウ(柳楽優弥)の弟役を少し前に自ら命を断った三浦春馬が演じ、
劇中で海に入っていくシーンがあり、その後出征し死んでしまうので、ショッキングではある。

『太陽の子』は来年劇場映画版になるらしい。
カテゴリー: 雑感
(2020年08月25日)
投稿者:suoyon
無藝荘外観8:2020

無藝荘の中の部屋


信州、蓼科湖近くの無藝荘。

ここは蓼科高原にある無藝荘。
日本を代表する映画監督故小津安二郎の仕事場であり山荘。
1954年に脚本家の野田高梧の山荘「雲古荘(うんこそう)」を訪れた
小津監督は蓼科が気に入ってその後雲古荘の近くの
この無藝荘で野田高梧と映画のアイデアを練り脚本を完成させる。
1本の脚本を完成させるのに相当数の
日本酒「ダイヤ菊」が空になったらしい。

蓼科湖辺りは標高1300mくらいあるので夏も涼しい。

ここに籠もりつつも現地の住人と交流したり、
東京から来る松竹映画など業界人をもてなしたりの日々もあったようだ。
その影響からか俳優笠智衆さんも近くに別荘を構えたらしい。
普段小津監督はは北鎌倉に住んでた。

小津監督の映画は戦前のサイレント時代の傑作『生まれてはみたけれど』、
『東京物語』遺作の傑作『秋刀魚の味』といつも日本の家族を描き、素晴らしい作品。
『東京物語』や『秋刀魚の味』など20代の時は登場人物の子供のほうの立場で
見ていたのが今見ると親のほうの気持ちで見れたりしていて・・・時が経っちゃった。

『東京物語』などいかにも日本的と思われるが実は小津監督はアメリカ映画からヒントを
得てそれを日本に置き換えてたりする。まあ普遍的な人間、家族といったことなのでしょうか。

2012年に英国映画協会の「史上最高の映画ベスト10」で映画監督が選出する部門で
『東京物語』が第1位に選ばれた。
海外のインテリ、アート系には小津の評価は高い。
黒澤明監督がスピルバーグ、ジョージ・ルーカス等の超エンタメ巨匠にリスペクトされ、
小津監督はヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュ、ジュゼッペ・トルナトーレ(ニューシネマパラダイス)、
候孝賢、ドーリス・デリエなどに敬愛されているようだ。
カテゴリー: 音楽
(2020年08月21日)
投稿者:suoyon
Bitches Brew




『BITCHES BREW』 MILES DAVIS から51年経った日。

最も好きな音楽のひとつ、マイルス・デイヴィスの『BITCHES BREW』リリースから50年か、
感慨深い!レコーディングは1969年8月19日20日21日(ニューヨーク)なので今日で51年経った。

その数日前にはウッドストック・フェスティバルが開かれている。
ジャズもロックもなんかすげえ動いてた時代。
ベトナム反戦運動あり、若者はエスタブリッシュメントに抵抗する、みたいな時代だった。
日本では安保反対、学生運動、三島由紀夫の自決が1969年11月だった、、、
いやいや激動の時代。

『BITCHES BREW』
高校2年の時、最初に聴いた時はよくわからなかったけど、次第に魅了された。
今聴いてもまだ発見があり奥深い演奏の魅力に満ちている。
JAZZ史上最も革命的なアルバムとも言われている。
いわゆる2−5−1等のコード進行するスタンダード・ジャズのフォーマットじゃないし、
60年代の黄金のクインテット時代のモード・ジャズでもない、
一応モーダルな和声の延長かもかもしれないけど。リズムが凄い。

ドラマーはディジョネットとレニー・ホワイトのツウィンで16ビート系だけど2拍4拍で
スネアを打つ普通のロックにはほぼなっていない。
ジョン・マクラフリンのギターが今聴いても、こう来るか!っていうマニュアルなどない、
その場で反応しただろう独自な演奏している。

テーマモティーフはあるけど、
集団的なインプロヴィゼイションっていう感じで1曲が20分前後と長い。
ウェイン・ショーターはこのアルバムがマイルス・バンド最後。
チック・コリアとジョー・ザヴィヌルのエレピが絶えず動いていて白たまで伴奏することはない。
チックの和声感やフレーズはほんとフシギに満ちてて凄い。
スネアがロックしないことでその分、伴奏陣のリズムが見えやすいし画一的にならない。
その後のビリー・コブハムは手数多いけど好きじゃない、
アル・フォスターのドラムになってからはロックになっちゃって、その分聴きやすいけど、どうかなあ・・
『BITCHES BREW』はそこに隙間があってチックの動きも見えるのが楽しい。

また1974年のマイルス来日時に厚生年金で見たのでわかったが(この時は1曲が50分くらいで、それを2曲やった)、
バンドを指揮するかのごとく合図を送っていたマイルスなので
ここでもモティーフ設定やダイナミクスの指示をしているのだと思う。
和声的に単調になりがちな部分をリフレインしつつも盛り上がるという肉体的なダイナミクスがぐいぐい惹き込んでいく。

曲としては「ファラオズ・ダンス」「ビッチェズ・ブリュー」が素晴らしいが
チックのアイデアと思われる「スパニッシュキー」も決めフレーズに持っていく流れがめちゃかっこいい。
ショーター作曲の「サンクチュアリ」は「ネフェルティティ」の延長上のようで
伴奏陣が即興していてテーマメロディがリフレインされる。
4ビート風だがデイヴ・ホランドは4分音符でウォーキングせず動きまわっている。

ハーベイ・ブルックスがエレベでパターン奏してるときにホランドがアコベースでソロ風に弾いてる、
とか面白い。ベニー・マウピンのバスクラが低音域でソロっていうのではなくブリブリ来るのも
ブラックマジック風なジュジュ風な気分を醸し出す。

情緒的なメロディはほぼ無く、ウェットでセンチなメロディが一番という価値観の
一般的な日本人向きではないでしょうね。
(そうそう逆にJAZZでもマル・ウォルドロンの「レフト・アローン」とか日本では異常に流行ったし)

凄く上手いトランペッターというとクリフォード・ブラウン、リー・モーガン、フレディ・ハバードらがいるが、
マイルスはそういう演奏目線で計測できる狭いミュージシャンではない。
アンサンブルとかグループによるサウンドのことをいつも考えていて若手の起用や時代の先取りという面で天才的。

1960年代末からのロックの隆盛にマイルスはたぶん嫉妬していて、
自分もそれだけの規模で観客動員できる、したいと思ってたんじゃないかと。
それでロックやエレクトリックを導入していくわけだけど、
結果的に全然ロックではないし、スゲエ音楽に行き着いたっていうところ。
勿論いわゆるJAZZっちゅうことでもないのかもしれない。

もうひとつは、
60年代の黄金のクインテット(ショーター、ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズにマイルス)
は黒人だけの編成で、こんな知的な音楽はないんじゃないかというくらい高度な音楽だった。
それがモーダル・ジャズの頂点まで行ってしまって、
マイルスはロックやエレクトリックに次の活路を探したのかな、っていう感じ。
それと黒人だけにとらわれないメンバーキャスティングしている。

試行錯誤のあと名作『IN A SILENT WAY』で白人ピアニスト・コンポーザーの
ジョー・ザヴィヌルの曲を起用、問題提起でありつつひとつの結果を残し、
きっとマイルスは自信を深めたんじゃないかっていう気がする。
黄金のクインテット時代はウェイン・ショーターに任せてたサウンドを
この『BITCHES BREW』では完全に自らイニシアティブとってる気がする。
ショーターのほうはマイルス・バンド辞めてブラジル志向だったりもありつつ
ザヴィヌルとWEATHER REPORTを結成する。

あと1969年というとまだ60年代フリージャズの名残もあって・・
アルバート・アイラー、アーチー・シェップ、セシル・テイラー等頑張ってたし、
チック・コリアだってReturn to forever結成前はアンソニー・ブラックストンと
ARCっていうアヴァンギャルドやってた・・アブストラクトな価値観が生きている面もある。
その後クロスオーバーとかフュージョンというともっとコマーシャルで聴きやすい音楽、
楽器奏者の上手さ比べみたいな面にすべてではないが、行っちゃうこと思うと、
この『BITCHES BREW』はプレイヤーのテクも凄いけど
それを売り物にした安っぽい商業性のある音楽ではない。

音響面ではスタジオ・ライヴのようなセッティングで演奏したと思われる。
だからダイナミクス上スネアをガンガン叩く感じではなく、
どの奏者も他の奏者の音をちゃんと聴いて反応しているプレイだと思う。
ただ演奏が長いのでプロデューサーのテオ・マセロが編集はしている。

『BITCHES BREW』というタイトル、「ビッチ」なんていう言葉、
当時相当ヤバイのでテオ・マセロはレコード会社上層部にビビりながら
マイルスの新作は「ビ、ビ、ビッチェズ・・」ですけどいいでしょうか?って聞いて、
上層部はマイルスがそう言うならしょうがないんじゃない、っていうことみたい、great !
マイルスが行きつけのバーにあったメニューに
『BITCHES BREW』(あばずれ女のたくらみ)っていうのがあって、
それからとったみたい。よくビールにBREW使うし。
シェークスピアのWITCHES BREWも関係あるのか?ないか?
カテゴリー: 雑感
(2020年08月02日)
投稿者:suoyon
昭和の渋谷


長野県に渋谷が!! 
このミニチュアの渋谷駅東口ロータリー、
それも昭和だし、都電がいるからほんと昭和30年代とかか?
これは長野県の上田から山に入っていった青木村にある五島慶太未来創造館にある。
五島慶太は当地出身の元運輸大臣であり大正から昭和にかけての
鉄道王。東急電鉄やデパート、沿線の宅地開発、学園誘致等の発展に尽くした方。
しかしこの渋谷駅のミニチュア、僕の世代にとってはほぼ故郷の
ような景色。ただただ懐かしく、思い出だし、、、都電はだいぶ忘れてるけど、
ボクらの渋谷はこれデスね。
カテゴリー: 雑感
(2020年08月02日)
投稿者:suoyon
オンライン用セッティング



日々是ON LINE

コロナ禍で世界は変わった。
いろんな講座、講義、授業、打ち合わせがオンラインで開催、
近々対面での授業も始まるがすっかりこのリモートにも慣れて(?)来た感じでもある。
いやいや管理システムのソフトには各学校ごとに様々で全く慣れていない、
学校側の方々にご面倒おかけしている。

しかしこの「オンライン」なにより通勤しなくて良いという利点はある。
その分僕の場合は東京から160キロ離れた田舎生活・・・
引っ越してから17年、
こんなにずっとこの高原ライフを満喫したことはないかもしれない。
しかし、
そんな長所だけとは限らない。
やはり一緒にその場にいればそこの空気感で
対処できることがあるが。
例えば反応によってちょっといい意味での脱線して関連した別の解説に行けたりもするが、
その空気感がなんとも読めない。「反応」というボタンで対応してもらうことも可能だが。
後は準備を綿密にしたほうが、スムースなので・・・
次の題材に行く時の白けた時間をなくす、ということだろうか。
やはりコンピュータとかネットとかはきちんとした世界に行く気がする。
アバウトなことはあまり許されない感じ。
まあそれも自然になっていくかも。
カテゴリー: ミュージシャン
(2020年08月02日)
投稿者:suoyon
ピーター・グリーン73歳で逝去。

Peter Greenは僕が中学から高校時代によく聴いたジョン・メイオールや
グリーンが作ったバンド、フリートウッドマックで活躍したギタリスト。

イギリスでのブルースの開拓者ジョン・メイオールのブルースブレイカーズでは
エリック・クラプトンの後釜として19歳で加入、グリーンの後がミック・テイラー
というイギリス屈指のブルースギタリスト列伝になる。もう一方でヤードバーズ系では
エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジとなっていてその両方に
クラプトンがいる。ちなみに末期ヤードバーズがバンド名をレッド・ツェッペリンにする。

ピーター・グリーンがメイオール時代に演奏したブルース曲のアドリブを
耳コピしたのが僕のはじめての耳コピかもしれない。
グリーンの奏法はクラプトンほどのレガート感ではないが白人らしいまとまった
センス良いブルーススタイルでスライドもマスターしている。

フリートウッド・マック時代のアルバム『English Rose』はジャケットが超目立つものだったが、
内容はイギリス人のブルース解釈の延長みたいな感じ。特に「Black Magic Woman」という
グリーン作のブルースが超かっこいいが、その後サンタナがこれをわかりやすいちょい泣ける
ラテンブルース風にして世界的大ヒットになった。僕も10代の頃やってた。
今聴くとグリーンのは渋くて大人っぽい。しかしこの頃のグリーン、クラプトンやミック・テイラーなど
10代後半で、まだまだ一般的でなかったアメリカの黒人音楽のブルースというスタイルを
完全にマスターしているところが驚きだし、凄い。

ミック・ジャガーもシカゴチェス(インディレーベル)のマディ・ウォーターズの
アルバムをアメリカから通信販売で取り寄せてるマニアックな渋い少年だったと言える。

何が当時のイギリスの一部の若者をブルースというマイナージャンルに走らせたのか?
そしてそれがロックという大きなムーブメントに発展したのか、興味深い!
また60年代後半にはイギリスは一気にロック超えをして
ジョン・マクラフリンなど超ジャンルなギタリストを生み出しているのも面白い。

ピーター・グリーン、1970年代にはフリートウッド・マックを脱退、
バンドはブルースからソフト・ロック路線に変わり超売れた。
グリーンはドラッグでほぼ引退状態が長く続き1990年代に復活。
1998年のアルバム『The Robert Johnson Songbook』は基本的に
アコースティック系なサウンドでどこまでも渋い。
ジャムセッションではなくきちんとアレンジしたサウンドだし、ピアノの雰囲気もわかりやすくて良い。
言うまでもない1930年代のブルースカリスマ、ロバート・ジョンソンの作品をリメイクした。

これは聴きやすいし、いきなりロバジョン、マディ・ウォーターズ、ジョン・リー・フッカー、
ライトニン・ホプキンスなどホンマモンの黒人ブルースじゃ濃すぎる方々にはオススメのブルースアルバム。
フリーやバッドカンパニーで活躍したポール・ロジャースが「Sweet Home Chicago」を歌っているのも嬉しい。
ストーンズで有名な「Love In Vain Blues」「Stop Breakin' Down Blues」も新たな解釈している。
凄いギター・ソロとかはなくて・・・
若い頃一世風靡し、ドラッグで隠遁し、復活した枯れた白人ブルースマンっていう趣がなんか人生を感じちゃう。

マーチン・スコセッシ製作総指揮の7本組作品『BLUES』にもあるようにBLUESの聖地は
ブルースが誕生した19世紀末アメリカのテキサス東部からミシシッピ州にかけての当時の
綿花畑地帯のプランテーション、その後ニューオリンズでピアノ中心にジャズ誕生への橋渡し、
第一次大戦後労働力が流入したエレクトリックブルースの発祥地シカゴ、
そして勿論アフリカに根本的源はあるとして、もうひとつが1950年代末から1960年代の
イギリスロンドン。なぜかアメリカで一時廃れてしまったブルースを蘇らせたのが
ロンドンやその周辺辺りの若者達、それがジョン・メイオール、エリック・バートン、
エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ブライアン・ジョーンズ、ミック・ジャガー、
キース・リチャーズ、ピーター・グリーン、スティーヴ・ウィンウッドたちで1950年代に
イギリスで流行ってたスキッフルに背を向け若いのに渋い黒人ブルースに共鳴した、
というのがなぜか興味深い。ちなみにポール・マッカートニーはスウィングとかスキッフルが
根本にあるのでロックンロールあってもブルース色ない。

ジョン・レノンはチャック・ベリーが師匠だからロックンロールだけど、
マディ・ウォーターズとかそういう色はない。ブルースはリヴァプールまで届いてなかったのか!?
クラプトン、ピーター・グリーン、ジャガー&リチャーズはロンドン辺りの出身。

僕の世代はそういったイギリスのブルースに影響うけたのと、
アメリカのホワイトブルースの人たち、マイク・ブルームフィールド、アル・クーパー、
ポール・バタフィールドを聴いた。
ブルームフィールド&クーパーは60年代中期のディランのバックでも聴ける。

ピーター・グリーン(誕生日が一緒だ!)
さんにご冥福を祈るばかりです。
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