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カテゴリー: 音楽
(2023年09月07日)
投稿者:suoyon
WShorter Quartet2012 (1)



続:ウェイン・ショーター考

2012年のウェイン・ショーターQuartetのパリでのコンサートの映像を久々に見た。
ドキュメント「Zero Gravity」でもこのカルテットのリハやライヴシーンが出てくるので気になっていた。
やはり1960年代のモード手法によるジャズ、、それは1970年に近づくにつれてロックムーブメント、エレクトリック化の流れになっていき、
あの頃のモード手法以上にはもう進めなくなったのか、と考えられていた。しかしこのショーターのカルテットを聴くと
ロック、エレクトロ、フュージョンといった流れに身をおきつつの時代を超えて、
ここでモード系のさらなる発展を完成させているんじゃないか!と今更だけど思った。

ドキュメント「Zero Gravity」でもいろんな方々がショーターを評している。
サックスの巨人ソニー・ロリンズは「ウェイン・ショーターの音楽はどのジャンルにもカテゴライズされない」
「持って生まれた才能がその偉業を成立させている」
ニール・ドミグラース・タイソン(天体物理学者)「今まで聴いた音楽で一番影響された」

Bob Blumenthal(ジャズ評論家)「ウェインの音楽は足し算ではなく引き算でできている、そして開かれている」
Jason Bivins(ジャズ関連書著者)「空間は思考を活性化させる」

「ジャズの曲は40%が従来の曲がベースになっているがウェインの曲は独創性がある」「イマジネーション豊かなら伝統には縛られない」

マーカス・ミラー(ベーシスト)「ウェインは[ネフェルティティ]と[フットプリンツ]だけでやっていける」・・・
つまり、しかしこの有名な名曲2曲に頼ることなく死ぬ直前まで絶えず前に進み続けた、ということを言いたいのでしょう。
カテゴリー: 映画音楽
(2023年08月31日)
投稿者:suoyon
Zero Gravity_WShorter (1)



Wayne Shorterドキュメント映画『Zero Gravity』

今年3月に旅立ったウェイン・ショーター先生(ココロの師ね)の
ドキュメント映画『Zero Gravity』を
Amazon Primeで観た。
とてもとても、ほんとうにとても興味深い!
episode1、2,3 と3部あり見ごたえある。
肌の色じゃなくて、その人の行動を見て人を判断しなさい、
という母からは芸術的なインスパイアも受けたのかもしれない。

漫画を描いていた子供時代、美術で受賞し、その後音楽をやり、あっという間に
若手の有望株、それもサックス奏者としてだけでなく
作曲家として新しいジャズを想像していく超凄い人へ・・・
しかしニューヨークの大学の音楽の先生の言葉:音楽の道は3つあると言い、
イマ・スマック(当時活躍していた凄いテクニックの歌手)、
ストラヴィンスキー、チャーリー・パーカーの3つだと言う。
日本じゃありえない!!!考えられない独自の先生!
ウェイン・ショーターのティーンエージャー期はチャーリー・パーカーの
ビバップが隆盛してきた時代。当時一番刺激的で新しい音楽はビバップなわけだ。
ショーターはすぐビバップのイディオムをマスター。

episode後半はダニーロ・ペレスらとのカルテットが凄い。
全く予測できない演奏、演奏形態!ジャズを超越。
死ぬ直前まで現役、それも
絶えずチャレンジする精神性の高い音楽を想像していたことがわかる。
ハービー・ハンコック、ジョニ・ミッチェル、カルロス・サンタナ、
ソニー・ロリンズ、レジー・ワークマンらのコメントもある。
テルコ、アナ・マリア、キャロリーナという結婚、宗教などのプライベートのことも描かれている。

作曲家としては1960年頃から2020年代までショーターワールドが一貫しているし、
サックス奏者としてはイマジネイティヴで、おきまりの吹きまくりアドリブという感じがなく
その場で感じた感覚で間の取り方も凄い。
このドキュメントで改めてその独創性が確認できた。
写真左はアルバム「EMANON」より。
カテゴリー: 雑感
(2023年08月24日)
投稿者:suoyon
鈴木伸一の自伝 (1)

小池さんだ!!鈴木伸一さんの本

先日のG9+1で音楽をつけた作品群のひとつ鈴木伸一さん(89)が
信濃毎日新聞に登場していた!!!
最近出版された自伝的な本のことが紹介されている。
鈴木さんは旧満州で小学生時代を送り生まれ故郷の長崎に引き上げ、
その後東京に出てあの伝説のトキワ荘の住人になった方。
藤子不二雄の「いつもラーメン食べてる小池さん」のモデルの由来や
赤塚不二夫らとの思い出を語った本。
1950年代に観たディズニー映画の影響でアニメーションに憧れた
そうだ。

鈴木さんとのG9+1での打ち合わせの時には
僕が映画『Shall we ダンス?』の音楽を担当したことで
そんな話にも触れていただいた、優しき方。

杉並アニメーションミュージアムの名誉館長。
多くのCMも制作されている。
カテゴリー: 映画音楽
(2023年07月20日)
投稿者:suoyon
水で書かれた物語チラシ






『水で書かれた物語』(吉田喜重監督 1965年)を上田の映劇で観る。

映劇という劇場が昭和の名残りあるレトロな場所なので作品とシンクロしてた!
出演:岡田茉莉子、浅丘ルリ子、入川保則 山形勲 音楽:一柳慧

話は石坂洋次郎原作のメロドラマ。不倫、母子相姦、心中、幼児性愛とかなりインモラル。
温泉入浴シーン、キスシーン、濡れ場等々この時代の日本映画としてはかなりのほうでしょう。
しかし吉田喜重ですから、撮り方が下世話にはならず芸術的というか、
カメラワークや照明もこだわっている。
ツッコメば、って言われればあるけど、でもまあ撮り方、話の進め方は説得力ある。
妄想シーンも変態気味だけど芸術的なのかも。
主演の岡田茉莉子の魅力、若き浅丘ルリ子がピチピチしている。
入川保則はよく子供の頃テレビドラマの2枚目な脇役で見た印象がある。

そして音楽の一柳慧は当時現代音楽作曲家の第一人者であり、
ここでも情緒的なメロディは一切ないコンテンポラリーなスコア。
ほぼ統一感あるモティーフで全体を包んだ。
編成はチェンバロ、ヴァイオリン、ドラムス、パーカッション等で2時間の作品に
20弱くらい短い音楽があてられた。
ただ一般人にはおどろおどろしいという感想が聞かれたので、
僕らのような音楽を生業にしているものと聴こえ方が異なるかも。
この時代のトレンドとも言えるこういった現代調は懐かしくも思うサウンドでもあり、
当時最先端のレベル高き作曲でありながら、その後衰退しちゃう音楽なので
流行の音楽のような響きになってしまったのかもしれない。

この作品は上田市、丸子町など信州でロケしていてもう廃線になった
上田丸子電鉄が出てきたり、当時の上田の町並みが楽しめてめちゃいい。ただ撮影が地方の町ということだけで内容にローカル色は全くない。
当時松竹ヌーベルバーグ(大島渚、篠田正浩など)のひとりと言われた
吉田喜重監督は昨年逝去、岡田茉莉子はこの作品の前1963年頃に吉田監督と結婚、
そして結婚直前に撮った作品が代表作でもある映画『秋津温泉』となる。
カテゴリー: 雑感
(2023年07月08日)
投稿者:suoyon
into animation 2023 (1)





INTO ANIMATION 8  国立新美術館で8月4日(金)6日(日)に上映!
https://into-anim.localinfo.jp

昨年12月にある劇音楽のTDが終わった次の日から取り組んでいたのが
G9+1という10人のアニメーション作家集団の全20分弱の
「SWITCH / ON」という作品。
8人の作家が「SWITCH / ON」という共通テーマでそれぞれ2分前後の作品を作る。
そこに私が音楽を作曲した、ということです。

セリフはなくいわゆる物語ではない。音はほぼ音楽だけで、ちょいSEはある。
アートというかナンセンスというか、でも気楽に楽しく見られる作品です。
各作品が繋がって20分弱。実はまだ作業が続いているんです。

今回は8人の作家だが一度に8人の巨匠の方々とコラボするというのもこりゃ~大変!
と思いつつ仕事に入ったが、皆さんお優しく、ほぼダメ出しなく、
直しはタイミングのことくらいで進み、あとミックスを残す段階。

メンバーの古川タクさんは今度日本アニメーション協会の会長になる方。
海外での受賞も多い巨匠!福島治さんはあの伝説のCM、トリスウィスキーの四角いおじさんの
キャラを描いた方。ひこねのりおさんはCM明治のカールのカールおじさんを生んだ方。
鈴木伸一さんはななんと!あのトキワ荘にいた方、そして藤子不二雄の漫画に出てくるいつも
ラーメン食べてる小池さんのモデルになったお方!

その他、きらけいぞうさん、一色あづるさん、大井文雄さん、和田敏克さんと
和田さん以外みんな年上!
どこ行っても年上な今日このごろ、これは幸せなお仕事、その上皆さん元気で刺激的!

日本アニメーション協会の「INTO ANIMATION 8」の中での
プログラムAという催しで上映。
8月4日(金)11時55分〜13時55分 国立新美術館3階講堂
8月6日(日)11時55分〜13時55分 国立新美術館3階講堂
カテゴリー: 雑感
(2023年05月17日)
投稿者:suoyon
MPJ でのオンライン講座2023

2年ぶりのMPJ(MUSIC PORT JAPAN)での映画音楽作曲講座開催です。
7月5日(水)12日(水)26日(水)の3回、
いずれも20:00スタート(30分前よりオンライン)の
Zoomによるオンライン講座です。

今回ゲストコメンテイターに
作曲編曲家ギタリストの加藤みちあきさんをお迎えします!
コンポーザーJirafaもアシスト参加します。

今回は1940年代の映画音楽に焦点を合わせます。
1930年代に劇中音楽がつけられるようになり、
1940年代はそれが通常化していき発展する時期かと思われます。
現代の映画音楽との対比を交え、
また物語、シーンとの
距離感を考察しつつ解説したいと思います。
ロマンス作品のお手本となった作品、
フィルム・ノワールと呼ばれる作風なども生まれ
1940年代は戦争期もはさみ重要な時代です。
いつものように講座3回目は参加者の課題発表になります。
課題を発表されない方でも参加可能です。
詳しくはMPJのホームページで。
http://blog.livedoor.jp/mpj_events/archives/52218618.html

昨年は配信ドラマ、アニメの作曲、レコーディングに追われ講座ができませんでしたので2年ぶりです。
10話からなる配信ドラマの制作~MAへのプロセスの話もはさみこみたいです。
カテゴリー: 雑感
(2023年05月02日)
投稿者:suoyon
千曲川と菜の花公園 (1)

飯山の菜の花公園。4年ぶりかな、コロナだったから。
ってコロナ完全に収束はしてないか。
とにかくここはとても好きな場所。和む!
カテゴリー: ミュージシャン
(2023年04月04日)
投稿者:suoyon
おおたか静流の会






『おおたか静流を聴く会』

昨年9月に旅立ってしまった、オンリーワンなシンガー
おおたか静流。
彼女と伝説のユニットdidoで活動し、その他でも多くのコラボレーションした
作曲編曲家の加藤みちあきと私周防義和の2人で『おおたか静流を聴く会』を開催することにしました。

『おおたか静流を聴く会』
加藤みちあき 周防義和
スペシャルゲスト:甲田益也子(dip in the pool)
場所: FJ's
   http://fjslive.com
東京都目黒区中目黒5-1-20(駒沢通り沿い祐天寺近く)
TEL:03-6303-1214
Mail: info@fjslive.com

日時:6月23日金曜日
   open 18:30
   start 19:00
   charge\3000+ドリンク\300(ミニマム)
予約は上記のFJ'sまで。

加藤みちあきさんからはdidoの秘蔵!映像やCM曲も含め数々のコラボ作品、
勿論didoの曲を解説しながら聴きたいと思います。

僕はCM曲、それと1987年頃の自宅録音した未発表曲も
はじめて世の中に出しちゃおうかと思っています。
Voice From Asiaというバンドでは数年間一緒に活動したので、そんな
話題もいろいろあります。
キース・ジャレットの「My Song」、スタンダード曲「Lover Come Back to Me」を歌ってる、
なんていう未発表テイクもあるんです。
また静流さんと交流した方々からのエピソードもあれば現場でうかがいたいです。

今あらためて聴いてもおおたか静流というシンガー、ヴォイス・パフォーマーは
独自の表現力、変幻自在の声、リズムグルーヴの凄さ、アドリブ、
無国籍ノンジャンルな世界観に対応する柔らかい能力、と凄すぎる人でした。
僕やみちあきさん、そしていつも仕事をしていたすべての方々に尊敬されていた
シンガーでした。

飄々とした気取らない人柄、メソメソした人でもないので当日は明るい会として
彼女の歌を我々加藤みちあき、周防義和を通した『おおたか静流を聴く会』として
皆さんと楽しく思い出す時間を過ごせたら最高だと思います。
モデル、シンガー、女優の甲田益也子の参加もご期待ください!
是非ご参加ください!

ご参加の皆さんへは未発表テイク集CDRのプレゼントを計画しています!
カテゴリー: ミュージシャン
(2023年03月20日)
投稿者:suoyon
shorter's albums



Wayne Shorter追悼#3

マイルス、チック、フレディ・ハバード、マッコイ・タイナーと1960年代に日本では
新主流派とか呼ばれた(まあマイルスはマイルス、チックはチックだけど)
アルバムを次々に出してたミュージシャンが旅立ってしまった。フレディ・ハバードなんかは
凄いテクニックのトランペッターだったし、ハンコックの『Maiden Voyage』で凄いソロしてる。
マッコイもコルトレーン死後少ししてから急にコルトレーンの後を継ぐような
アルバムを連発していて凄い勢い感じた。
そしてLydian Flat7thの師匠、チック・コリアがいなくなり、ショーター先生ときちゃう。

ショーター、死ぬ直前までエスペランサ・スポルディングという
若き天才肌のミュージシャンとコラボしているのも凄い。

振り返って
ウェイン・ショーター、1960年代っていうと。
モダンジャズ(スウィング・ジャズは白人の軽いダンス音楽と考え硬派な人はジャズ扱いしていないので
モダン・ジャズ、パーカー以後がジャズという考え方)を作ったチャーリー・パーカーから
1950年代にはハードバップへ進化し
それらを受け継いだ時代で、一方にオーネット・コールマンがフリー・ジャズを
提示し。そしてフリーまではいかなくて全体の枠はあり、みたいなモード手法の発展があり、
バップ以後コード進行が複座になりすぎインプロヴィゼイションの自由さを求めた演奏家たちは
いろんな手法を模索しつつ1960年代を生きた。

1960年代中期からはエレクトリック、ロックといった新たな価値観、
技術革新のなかで1960年代末は混沌となっていき・・・いやいやメチャ面白い時代でした。
誰かがアルバムを発表するたびにワクワクしたし、それまでの音楽を壊していく、みたいな。
それは業界の枠みたいなものにも革新が起きてフリーコンサートとかも起き、
その後産業として巨大になり過ぎて、マーケティング的に売れ線みたいな考え方になる直前、
いい加減な感じを含めてミュージシャンの自由度が高かったような気もする。
勿論食うことを考えないと、という面はいつの時代もあるけど、確立された体制に向かっていく、
みたいな価値観が若者の間で共有されてた気がする。今はちゃんと売れることやろう、
お客さんが喜んでもらえること、といった良くも悪くも商業的に発展しすぎたような価値観が全体を支配する時代。

ショーターさんは神秘的な曲がひとつのコンセプトで、ハードバップの普通な曲の書き方から早く抜け出し、
オリジナリティを感じる音楽を作ってた。しかし当初ロックをすぐには受け入れていない。
こういうところも自分でコンセプトが建てられる人だから、ロックが流行ったからといってすぐに飛びつかず、
やらされてる感がないのがショーター。マイルスはいい意味で若者の中に飛び込みたかったんでしょうね。
名作でいて大問題作『Bitches Brew』(Miles Davis)の中のショーター作品はアルバム中唯一4ビート系だし、
写真中央の上から2番目の『Odyssey of Iska』もリズムはブラジル寄り。
そしてミルトン・ナシメントというブラジルの素晴らしきシンガーソングライターを世界に紹介したり。
WEATHER REPORTになるとロックリズムも取り入れている。
カテゴリー: ミュージシャン
(2023年03月12日)
投稿者:suoyon
super nova


SUPER NOVA(1969)《ショーター追悼その2》

1969年の11月に三島由紀夫が自決し、一方ではベトナム戦争反対、ヒッピムーブメント、
学生運動、70年安保とか世の中が動いていた時代。
自分の通う高校も学園紛争の波が押し寄せ学生運動家たちによって秋に学校が占拠、
封鎖され僕らは翌年の4月まで授業がなかった。(→学校の授業ないので勉強もしなくなっちゃった)

音楽のほうではマイルスの『IN A SILENT WAY』(1969)『BITCHES BREW』(1970)と問題作が連発、
従来の4ビートのジャズに革命が起こったような刺激的な時代だった。
ジャズ保守派からはロックに迎合したという意見もあるが『BITCHES BREW』は通常のロックビートではないし、
普通のポップなコード進行の曲でもない。そんなイージーなロック迎合ではない。

ただマイルスは「俺は世界一凄いロックバンドができる」と豪語していた。
マイルスはロックの奴らが凄い稼いでいるのにアタマ来てたし、いつまでもジャズが
夜のクラブで酒のつまみBGMしてることから抜け出したいという強い気持ちがあったのだろう。
ワイト島の野外ロックコンサートに前座扱いの昼間に出演している。
すでに巨匠域のジャズマンがだ。
またジミ・ヘンドリックスやファンク系にも興味をいだいていた。

坂本龍一さん(父親が三島の編集に関わった方らしい)も当時東京芸大作曲科に入った、
しかし『BITCHES BREW』とかが出ているし、学生運動等激動の時代なのに、
みんなクラシックのお花畑状態で違和感を感じだんだん行かなくなった、と言っている。
ただ民族音楽の小泉文夫の講義は受けてたとか、民族音楽と電子音楽の興味に傾いていった、
ということらしい。僕も小泉文夫の本は殆ど読んだ、当時のテレビ出演もよく見てた。

写真のウェイン・ショーターの『SUPER NOVA』(1969)もそういった革新的なアルバムだった。
ショーターはソプラノサックスを吹き、コード進行の音楽ではない、
そしてモード手法の概念をさらに超えてアブストラクトな世界観にいっちゃった。
これはやはり60年代フリージャズや現代音楽のアヴァンギャルドということだろうか。
ショーターの場合、ロック的なリズムにはいっていなくて南米寄りの感じ。
ただ時折リリカルなメロディがあり、僕は「Capricorn」という全体はルバートで演奏される曲の
モティーフをアレンジして自分達のバンドで演奏していた。
一見カッコよく聴こえるが、今聴いたら高校生の稚拙なアレンジではあろう。
ただコピーとかではなく原曲を壊して独自の発想に置き換えて演奏していた。文化祭でやったと思う。

この『SUPER NOVA』ではジャズやロックを自在に超えて弾きまくるギタリスト、
ジョン・マクラフリンの出現も凄かった。
『BITCHES BREW』では演奏がすごくてマイルスはある曲名に「ジョン・マクラフリン」と命名しているくらい。
またその後ショーターとWEATHER REPORTを結成するチェコ人ベーシストのミロスラフ・ヴィトウスも参加、
またチック・コリアもドラムとヴィブラフォンを演奏している。
集団的な即興アンサンブルで厳密なソロ回しはない。

1曲だけアントニオ・カルロス・ジョビンの「Dindi」が唯一メロディアスな普通の曲。
この名曲をマリア・ブッカーが歌い。
最後は感極まったのか、泣き声が入っている。
ただこの名曲も前後はアブストラクトな演奏で情緒的に流されていない。
1曲目のペシミックな1モティーフをひたすら展開即興する「Super Nova」は
疾走感の凄い曲、珍しくショーター吹きまくる。
「SweaPea」はチックのヴィブラフォン、ウォルター・ブッカーのガットギターが
神秘的に導入,独自の抽象的なバラードともいうべきか。
マイルスバンドでもやっていたリズムキープの聴きやすい「Water Babies」とめちゃ好き。
ピアノがいないので和声が支配的にならない、いい意味での揺れ、きちんとした感じじゃない
のがとてもいい。ピアニストがいると和声に安定感が得られるがセンス悪いとこういう曲では最悪。
モード系のジャズはコード進行というレールが敷かれていないので
素人ジャズには手を出せない部分がある。概念を理解するのが難しい。

アイアート・モレイラ、ジャック・ディジョネットと最強メンバーがまたいい。
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