配信ドラマ『シコふんじゃった!』が世界配信!

カテゴリー: 映画音楽
投稿者: suoyon

【2022年10月29日】
コクトオ桃色 (1)

配信ドラマ『シコふんじゃった!』が26日からディズニープラスで世界配信!
1991年の映画版『シコふんじゃった。』
から30年経ったという設定での全10話からなるドラマ。
主演の葉山奨之の飄々とした感じ、伊原六花の身体の柔らかさからくる四股の
美しさは撮影現場でナマで見たが見事!プロの力士でもなかなかいない四股(シコ)。

音楽は1991年映画版の雰囲気を踏襲したのが、
ハバネラ風ピアノ曲(写真はその1991版の譜面の主要モティーフ)、
弦楽のキザミ的な曲、弦の軽いコメディタッチの3曲。
あとは
10話からなるドラマなので脚本段階で約30曲を作曲しデモ制作。
それが4月から6月辺り。そして5月頃クランクインし、1話2話とラッシュ映像を
観てどうしても必要なタイミング合わせ等の曲も作曲。
また片島監督はじめ4人の監督の要望のあるシーンの音楽が数曲あり、それらを作曲。
7月に生楽器のレコーディングを行った。
木管(Fl,Cla)、弦楽(6-4-2-2-1)、アコーディオン、鍵盤パーカッション(Marimba,Glocken)、
ラテンパーカッション、ギター(Elec)、ウクレレ、バンドゥリア、ピアノ、ベース、ドラム、
プログラミング、メロディオン、ヴォーカル等。

このレコーディング時点ではまだ2話までしか撮影が終えていないので、
レコーディングは終わったのに、自宅でできる限り可能な対応での作曲の追加やエディットをした。
僕のPCにはバリエーション混ぜると80テイクの曲が並んでいた!

またラッシュ映像が次々と出来てくると音楽チームの
僕とJirafaでシーンのどこにどの音楽を入れるかという作業を行った。
本来作曲家はこの作業はやらない場合が多いが
僕の場合は映画では勿論すべて自分で判断し、その後監督の要望もあるし、その調整で決めて行くスタイル。(1998年からそうしている)
10話のドラマ全部をやるのはすごいすごい大変な作業だったが、
音楽の配置場所を決めるという作業はある意味もっとも大事なので納得した仕事にはなる。
そこでは音楽の編集もありになるので時間がかかる。
またスタッフに「音楽編集」の方もいるのでデモでラッシュに音楽をつけたら本番は
音楽編集者とメールのやり取りで決定版を決めていく。
そのプロセスで音楽編集者(佐藤さん)のアイデアもあったりして助けられてはいる。

ただ10話全部やってプリミックス、MAにもほぼすべて立ち会ったので大泉東映の
MAスタジオには20日間は行ったことになる。
3月末からすべてのMAが終わる9月頭まで休み無く働きました。(その間の講師仕事もあったしね)
また音楽プロデューサーなしで行ったので、これはある意味大変だが映像側とダイレクトな利点もある。
ちゃんとした音楽プロデューサーなら良いがCMのような段取りで
仕事する音楽プロデューサーは絶対良くない。
またいちいちサンプルだのかんだのっていいうのも嫌だ。1曲や2曲の規模じゃないんだから。

また1991年映画版でエンドテーマ曲の「林檎の木の下で」(歌:おおたか静流 編曲:加藤みちあき)が
大好評だったので今回、この曲を劇中でインストやスキャットで使用することになった。
しかしJirafaが試しに英語歌詞で歌ったところから「いいんじゃない!」っていうことになり
エンドテーマ曲にということに出世!?してしまった。
嬉しきハプニング。なのでクレジットが間に合っていない、ということになった。
(編曲はJirafa。最終話でクレジットされます)

1991年版では作曲家の故佐藤勝さん(黒澤映画でもおなじみの巨匠作曲家)に当時の
日経エンタテインメント誌で音楽のお誉めのお言葉をいただいた思い出があるが、
その記事を見つけてくれたのがおおたか静流さん。
今回の最終話のMAの日に加藤みちあきさんから訃報を聞き、呆然となってしまった。
おおたかさんにも今回の作品の報告しなくちゃって思ってたのに・・・
10話の新たな『シコふんじゃった!』が完成した。

写真は1991年版の劇中メイン曲の1節。キーはGだがc#なのでリディアン。
このGlydianとF#が繰り返すパターンが出だし部分。

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