『THE READER(愛を読むひと)』のあるシーン

The Reader
勝手に映画音楽のとてもとても興味深いシーン!
前にも紹介した『THE READER(愛を読むひと)』の冒頭から84分くらい
のシーン。
本を閉じ考え込むマイケルから、薄く音楽が入ってくる。
ニコ・ミューリーの音楽はほぼキャッチーなメロディ、過度な情緒的な
作風はなく、この微妙な雰囲気の音楽・・・緊張感がありソフトなサスペンス感、
疑問、不安を音色と途切れ途切れだったりの「間」を使ったフレーズで構成。
カセットの再生ボタンをハンナが押し、一方でマイケルが録音ボタンを押すところ
異なる時間軸を同じアクション合わせのようなカット繋ぎで編集、
ボタンを押した瞬間から音楽は一転、
Violin主体の弦楽セクションでの前向き感のあるリフレインフレーズになる。
このタイミングを選んだところは完璧。メリハリも生まれる。
いわゆるきっかけ合わせでの展開。
物語はカセットテープが送られ、
昔の恋人時代の感覚が蘇るハンナは表情も明るくなり、
マイケルのカセットへの朗読吹き込みはさらにさらに熱を帯びてくる。
朗読の声をダブらせた音の処理ありつつ、音楽もダイナミクスあがり、
独房で横たわりカセットを聴くハンナのカットでフルートとハープが残ったような展開、
再び弦楽、木管が鳴る。前半はクラリネット多用でここらあたりはオーボエ。
刑務所内図書室を訪れたハンナのセリフ「本を借りれます?」の直前で音楽終わり。
セリフきっかけでの音楽終わりは定番的な処理。
勿論トニックとかではない解決感終止のない終わり方がバッチリ。
複雑な微妙さを表現してるレベル高い劇伴奏音楽。
いわゆるメロディらしきもので展開する音楽ではないので、
一般には音楽を強く意識することはないかもしれないが、それほど映像への一体感、
余計な安っぽい情緒的旋律などで安易に済ませてない気がする。
やはり2000年代になって劇音楽のレベルはもう昔の単純なレベルにないものを
表現するようになった。
物語は殺人罪で服役しているハンナ(ケイト・ウィンスレット)は
18年前21歳年下の15歳のマイケルと恋人関係にあった。
ハンナは文盲のため恋人時代マイケルが本を朗読することをいつも
していたが、その後音信不通だったマイケルが服役してるハンナに朗読のテープを送る、
というシーン。
戦時中ナチスで仕事をしていて殺人罪になってしまったハンナと
それを知らずその後関係をもったマイケル、そして大人になりハンナは刑務所に・・・
ケイト・ウィンスレットがアカデミー賞主演女優賞。
体当たり演技、そして後半は老けメイクの凄さ!
写真はこのシーンの図解。
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