ピーター・グリーン73歳で逝去

カテゴリー: ミュージシャン
投稿者: suoyon

【2020年08月02日】
ピーター・グリーン73歳で逝去。

Peter Greenは僕が中学から高校時代によく聴いたジョン・メイオールや
グリーンが作ったバンド、フリートウッドマックで活躍したギタリスト。

イギリスでのブルースの開拓者ジョン・メイオールのブルースブレイカーズでは
エリック・クラプトンの後釜として19歳で加入、グリーンの後がミック・テイラー
というイギリス屈指のブルースギタリスト列伝になる。もう一方でヤードバーズ系では
エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジとなっていてその両方に
クラプトンがいる。ちなみに末期ヤードバーズがバンド名をレッド・ツェッペリンにする。

ピーター・グリーンがメイオール時代に演奏したブルース曲のアドリブを
耳コピしたのが僕のはじめての耳コピかもしれない。
グリーンの奏法はクラプトンほどのレガート感ではないが白人らしいまとまった
センス良いブルーススタイルでスライドもマスターしている。

フリートウッド・マック時代のアルバム『English Rose』はジャケットが超目立つものだったが、
内容はイギリス人のブルース解釈の延長みたいな感じ。特に「Black Magic Woman」という
グリーン作のブルースが超かっこいいが、その後サンタナがこれをわかりやすいちょい泣ける
ラテンブルース風にして世界的大ヒットになった。僕も10代の頃やってた。
今聴くとグリーンのは渋くて大人っぽい。しかしこの頃のグリーン、クラプトンやミック・テイラーなど
10代後半で、まだまだ一般的でなかったアメリカの黒人音楽のブルースというスタイルを
完全にマスターしているところが驚きだし、凄い。

ミック・ジャガーもシカゴチェス(インディレーベル)のマディ・ウォーターズの
アルバムをアメリカから通信販売で取り寄せてるマニアックな渋い少年だったと言える。

何が当時のイギリスの一部の若者をブルースというマイナージャンルに走らせたのか?
そしてそれがロックという大きなムーブメントに発展したのか、興味深い!
また60年代後半にはイギリスは一気にロック超えをして
ジョン・マクラフリンなど超ジャンルなギタリストを生み出しているのも面白い。

ピーター・グリーン、1970年代にはフリートウッド・マックを脱退、
バンドはブルースからソフト・ロック路線に変わり超売れた。
グリーンはドラッグでほぼ引退状態が長く続き1990年代に復活。
1998年のアルバム『The Robert Johnson Songbook』は基本的に
アコースティック系なサウンドでどこまでも渋い。
ジャムセッションではなくきちんとアレンジしたサウンドだし、ピアノの雰囲気もわかりやすくて良い。
言うまでもない1930年代のブルースカリスマ、ロバート・ジョンソンの作品をリメイクした。

これは聴きやすいし、いきなりロバジョン、マディ・ウォーターズ、ジョン・リー・フッカー、
ライトニン・ホプキンスなどホンマモンの黒人ブルースじゃ濃すぎる方々にはオススメのブルースアルバム。
フリーやバッドカンパニーで活躍したポール・ロジャースが「Sweet Home Chicago」を歌っているのも嬉しい。
ストーンズで有名な「Love In Vain Blues」「Stop Breakin' Down Blues」も新たな解釈している。
凄いギター・ソロとかはなくて・・・
若い頃一世風靡し、ドラッグで隠遁し、復活した枯れた白人ブルースマンっていう趣がなんか人生を感じちゃう。

マーチン・スコセッシ製作総指揮の7本組作品『BLUES』にもあるようにBLUESの聖地は
ブルースが誕生した19世紀末アメリカのテキサス東部からミシシッピ州にかけての当時の
綿花畑地帯のプランテーション、その後ニューオリンズでピアノ中心にジャズ誕生への橋渡し、
第一次大戦後労働力が流入したエレクトリックブルースの発祥地シカゴ、
そして勿論アフリカに根本的源はあるとして、もうひとつが1950年代末から1960年代の
イギリスロンドン。なぜかアメリカで一時廃れてしまったブルースを蘇らせたのが
ロンドンやその周辺辺りの若者達、それがジョン・メイオール、エリック・バートン、
エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ブライアン・ジョーンズ、ミック・ジャガー、
キース・リチャーズ、ピーター・グリーン、スティーヴ・ウィンウッドたちで1950年代に
イギリスで流行ってたスキッフルに背を向け若いのに渋い黒人ブルースに共鳴した、
というのがなぜか興味深い。ちなみにポール・マッカートニーはスウィングとかスキッフルが
根本にあるのでロックンロールあってもブルース色ない。

ジョン・レノンはチャック・ベリーが師匠だからロックンロールだけど、
マディ・ウォーターズとかそういう色はない。ブルースはリヴァプールまで届いてなかったのか!?
クラプトン、ピーター・グリーン、ジャガー&リチャーズはロンドン辺りの出身。

僕の世代はそういったイギリスのブルースに影響うけたのと、
アメリカのホワイトブルースの人たち、マイク・ブルームフィールド、アル・クーパー、
ポール・バタフィールドを聴いた。
ブルームフィールド&クーパーは60年代中期のディランのバックでも聴ける。

ピーター・グリーン(誕生日が一緒だ!)
さんにご冥福を祈るばかりです。

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