stravinsky



写真はどれもストラヴィンスキー『春の祭典』絡みのもの。右上は2010年のフランス映画『シャネルとストラヴィンスキー』(監督:ヤン・クーネン、原題:Coco Chanel & Igor Stravinsky)のDVD。
あの有名なシャネル創始者のガブリエル(ココ)・シャネルと同時代に活躍したイゴール・ストラヴィンスキーとの交流の物語。
冒頭から1913年のパリ。『春の祭典』のシャンゼリゼ劇場での初演をある程度再現していて興味深い。この20世紀音楽の歴史に残る大事件が再現されている。指揮者のピエール・モントゥーが登場し音楽が導入、バレエも始まると客席はざわつき、大騒ぎになり、次第にこの雑音のような野蛮な音はなんだとかで警察も駆けつける大スキャンダルになってしまう。公演は大失敗に終る。今なら『春の祭典』はそんなに前衛でもないが当時1910年代、バレエといえば『白鳥の湖』『眠れる森の美女』などまだまだ19世紀的ロマンティックなものが一般的だった時代。『春の祭典』の異教徒的な大地礼賛やらリズムや不協和音の革命的な音楽は斬新すぎた。しかし数年後には絶賛され今日に至っている。
別の資料で見た話では初演に来ていた作曲家サンサーンスは「ファゴットの使い方が酷い」といって途中で帰ったとか、そして怒号の中で必死にテンポをカウントする振付のニジンスキーなども描かれている。公演後ニジンスキーの振り付けが悪いとストラヴィンスキーが怒る場面もある。また劇中では『春の祭典』の様々なモティーフを劇伴で使用したり、主人公ストラヴィンスキーがピアノでモティーフを再現したり、それが何度か目ではオケの音もミックスされたり、面白い。
またココ役のアナ・ムグラリスは実際にシャネルのモデル経験もある女優なのでその衣装の着こなしは見事!色っぽい。
物語はすでに成功者だったココ・シャネルがロシア革命で祖国に戻れなくなり財産を失ったストラヴィンスキー一家がシャネルの援助を受けてパリ郊外で住むうちに不倫関係になるというものだ。ある程度は事実らしい。
さてさて、戻って写真だが、
左上はシャルル・デュトア指揮モントリオール交響楽団の演奏のCDジャケット。左下は小澤征爾指揮シカゴ交響楽団演奏のCDジャケット。右下は大植英次指揮ミネソタオーケストラ演奏。それぞれ良さがある。デュトアのが好きかな。以前デュトア指揮NHK交響楽団の『春の祭典』のリハーサル風景をドキュメントしてたが、完全に暗譜していて厳しくリズムの縦線を注意するデュトアの凄さを感じた。実際の指揮も完全にこのリズムが身体に染み込んでいてクラシックには珍しくデュトアさんの指揮にグルーヴを感じた!
有名な指揮者カラヤンも最初は『春の祭典』のリズムが理解できなくて若手の指揮者に、この分母が変わる変拍子をどうやって振るのか?って聞いたらしい。
ウェットでセンチなメロディを好む多くの日本人にクラシックでもこの『春の祭典』無理っすね。いいです、僕好きなんで。
以前にストラヴィンスキー生誕100年番組のドキュメントのことをここで書いたが、とにかく『春の祭典』とMiles Davis『Bitches Brew』(1969)は最も好きな音楽。ストラヴィンスキーの3大バレエはどれもよく聴く。