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カテゴリー: 映画音楽
(2022年01月09日)
投稿者:suoyon
IMG_1895 (1)



俳優のシドニー・ポワチエが亡くなった。
映画史上最初の主役級スターになった黒人俳優っていうイメージ。
写真は1955年の『暴力教室』で、学生の中心的な役柄。
その相手がヴィック・モローというのも凄い。
モローは僕らの世代だとTVシリーズ
『コンバット』でのサンダース軍曹で人気あった。

『暴力教室』では「Rock Around The Clock」という
ビル・ヘイリー&コメッツの曲でロックンロール
という若者向けの音楽ジャンルができちゃった、という
ロックの歴史という面では記念的な映画。

もうひとつの写真は『ラスト・ピクチャー・ショー』(1971)という映画。
この監督のピーター・ボグダノヴィッチ監督。この方も最近亡くなられた。
ボグダノヴィッチ監督は『ペーパームーン』(1973)が印象的。
いつもレトロなアメリカの時代感が漂う。
『ペーパームーン』ではライアン・オニールとテイタム・オニールの親子共演。
『ラスト・ピクチャー・ショー』は1950年代のアメリカの田舎の雰囲気。
劇中音楽はすべて1950年代のポップ音楽の使用。
『タクシードライバー』の美女シビル・シェパードが女子学生役で
まさかのヌードシーンあり!
カテゴリー: 映画音楽
(2021年12月27日)
投稿者:suoyon
マダムと女房






『マダムと女房』  (ヴィンテージ映画勝手に感想シリーズ!)

で、日本初のトーキー映画はというと1931年松竹の『マダムと女房』。
『ジャズ・シンガー』に遅れること4年、、、でもでも飛行機での
行き来のない時代、いろんなものは船で日本にやってきて、そこから
あれこれ情報得て開発したり、製作したりなので4年は凄いかも!
それに『ジャズ・シンガー』はサイレントが大半なのにこちらは
完全なトーキー。大阪松竹の土橋兄弟が技術開発した土橋式松竹フォーン
というサウンドトラック方式とのこと。

『マダムと女房』五所平之助監督 主演は渡辺篤、田中絹代
この時代の田中絹代さんいろんな映画で主演してて凄いです。
ただ当初、田中さんは喋りに方言がありトーキーに自信なかったらしい。
しかし最初の主演女優がスキャンダルで途中から撮影に来なくなってしまい
ピンチヒッターで田中絹代登場となったらしい。
内容はコメディタッチの日常性のドラマ。主演の渡辺篤は浅草
オペラ出身のせいかギャグ的なセンスもあり、肩の力抜けた
今に通じる普通の感じがいい。北野武監督が好きな俳優のひとりに
あげているがうなずける。
音楽・・・劇中音楽はないが、隣の家にやってくるジャズバンドが
劇中音楽の役割をしている。ジャズと言っても1931年ですからね。
Trp,Trb,Alto&TenorSax,Banjo,Drums,Xylophoneそして歌という
編成でオリジナル曲「スピード時代」「スピードホイ」が演奏される。
また、冒頭、主人公が「巴里の屋根の下」を口ずさんでいるのもオシャレ!
映画『巴里の屋根の下』は1930年のフランス映画だから取り入れるのめちゃ早!
とにかく日本的な教訓とかお説教系ではなく洋風なセンスで日常を淡々と描いている。
カテゴリー: 映画音楽
(2021年12月15日)
投稿者:suoyon
ジャズ・シンガー2


世界初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』(1927年)。

活動写真、無声映画の時代から、映画に音がつくようになった長編作品の第1作。
とは言え、70%はサイレント・字幕に音楽をつけたスタイル。

歌、演奏のシーンがトーキーでその前後に少しアドリブ風なセリフ
「Wait a minute,wait aminute.You ain't heard nothin' yet!」が
世界初、映画からセリフが聞こえたシーンになる。

写真はDVDのジャケット。
黒塗りで歌うのは19世紀に流行ったミンストレル・ショーの名残り。
白人が黒人の真似をするのが、この時代でもあったんだ、ということがわかる。

内容はニューヨーク、ユダヤ教司祭の息子が歌手になりたいのだが
厳しい父が許さず、家出をして歌手になるというもの。
最初に10代の主人公が居酒屋ライヴで歌うが1曲めはスローでいい曲、
2曲めはラグタイムのリズムに乗ったもので、ダンスはM.ジャクソンの
ムーンウォークの原型か?!とも思わせる動き。
ジャズといってもニューオリンズでジャズが生まれたのが1900年頃、
1920年代だとまだスウィング・ジャズも出来ていない、ラグタイム風な
リズムに歌っている感じ。今見るとあまりジャズ風には感じない。
全然下品ではないが、夜の居酒屋で歌うような音楽、当時はいかがわしいほうの
部類だったのかもしれない。リズムに乗って譜面に書いたとおりじゃなく、
その歌手のニュアンスで自由に歌う雰囲気が生き生きしていて、それが
ジャズと言われて白人の間にも広まったのだろう。差別の時代が
ずっと続くのに、白人もジャズに熱中したのは映画「コントンクラブ」でも
描かれたいた。
主役のアル・ジョルソンはなんと19世紀末リトアニア生まれのユダヤ人。
そんな移民の方がアメリカを代表するジャズの映画の主人公、
アメリカってすげえ国だ。
大人になり歌手として活躍する主人公が「ブルースカイ」を歌うシーンがあり、
ジョルソンはメロディを自在にフェイクしている。今で言うミュージカル風な歌い方とも言える。
すでにブロードウェイではミュージカルが全盛を迎えていた頃だし。
この「ブルースカイ」はアメリカのスタンダード歌曲の大御所アービング・バーリン
(「ホワイトクリスマス」の作曲が有名)の作曲だが、
この方もロシア(今のベラルーシ)生まれのユダヤ人。
やはりジャズ・スタンダードは黒人のリズム、ユダヤのスケール感覚(西欧ドレミファソラシドを外す自在なムード)
のメロディからできてるといってもいのかも。おおまかですが。
ちなみにジョージ・ガーシュウィンもベニー・グッドマンもユダヤ系ですね。
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(2021年09月17日)
投稿者:suoyon
小諸からの夜景



軟禁中に!じゃなくて療養期間中に・・
もうこのさい閉じ込められてるんだから
刑務所モノの映画でも見ようと思って
刑務所モノの最高傑作『ショーシャンクの空に』(1994)
のDVD持って行きました。

『ショーシャンクの空に』は名優モーガン・フリーマンが
『ドライビングMissデイジー』(1989)での演技、あのセリフの言い方最高だなって
フリーマンの演技も観なくっちゃと言う理由もあってあらためてね。

刑務所モノ・・確かに最後の脱獄シーンは鬱憤晴らしで
エンタメ的に気持ちいいですが、
それよりティム・ロビンスとモーガン・フリーマンの二人の会話、その交流に
惹かれた。といってもプチ感動とかナミダ系じゃないのが良いところ。
日本人は泣けるとそれは良いという構図があるみたいだけど、
全然そういうことではないです。
僕は監督、スタッフ、役者さんが一体となって惹きこまれるシーンなんかに、
いい仕事してる!ってナミダでます。悲しいとかのシーンじゃなくてね。

音楽はトーマス・ニューマンでニューマン一族ですね。音楽一家的な。
演技の邪魔しない目立たない音楽も上手いです。特に独創性っていうのではないけど。
モーガン・フリーマンはナレーションでも
アメリカのナレーションやらせたらのベスト1位に
ランクされてましたね。
アカデミー賞7部門ノミネート。
公開直後は当時もっと派手で売れた作品があって興行的には
失敗と言われたけど、だんだん評価高くなり、
その後アメリカ議会国立図書館フィルム登録簿に重要な
芸術的な映画として保存されてるらしいです。
同じフランク・ダラボン監督の『グリーンマイル』も
同じスティーヴン・キング原作の刑務所モノ、でもこっちはファンタジー。

写真は小諸の夜景。
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(2021年07月07日)
投稿者:suoyon
Jirafa新聞記事2021

音楽仲間の作曲編曲家Jirafaが中日新聞岐阜版に載ってます!

映画『ブルーヘブンを君に』が岐阜を舞台にした作品だし、Jirafaは岐阜出身です!
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(2021年05月26日)
投稿者:suoyon
ブルーヘブンを君にパンフ




音楽仲間のコンポーザーJirafaが音楽担当した
映画『ブルーヘブンを君に』が6月11日公開です!
(緊急事態宣言で映画館はわからないのですが今のところ)

主演:由紀さおり 監督:秦建日子 
音楽:Jirafa

https://blueheaven-movie.jp

https://www.youtube.com/watch?v=numZa42eD_Q

岐阜が舞台、青いバラ、高齢者、空を飛ぶ・・・心温まるストーリーです。
カテゴリー: 映画音楽
(2021年03月28日)
投稿者:suoyon
日本人の忘れもの (1)


ドキュメンタリー映画『日本人の忘れもの』は今日本人として生きている者に
とって意外に知らないことを教えてくれる大事な事柄を描いている凄い作品。
昨年日本各地で上映、今年も広がりそう・・DVDも出ていた。

なんと言っても仲間の作曲家吉野裕司さんが音楽やっていて、
いい仕事してるな!って。
吉野さんの音楽は情緒的に偏らないでオシャレ。
エンディングテーマもS.フォスターの
「Hard Times・・」をなんと!甲田益也子vocal。

しかし中国残留邦人のことやフィリピン残留の日本人の問題など
まだまだ戦後は終わってないのだと思う。また日本政府の対応も非常に
残念なものが感じられる。
東海村第二原発問題で活躍の河合弘之弁護士が企画製作、
朝日新聞の大久保真希氏も登場する。
カテゴリー: 映画音楽
(2021年02月17日)
投稿者:suoyon
岸辺のアルバム2 (1)


『岸辺のアルバム』鴨下さんと「WILL YOU DANCE ?」

1977年のTBSドラマ『岸辺のアルバム』は数年前の懐かしのドラマランキングで1位だそうだ。辛口ホームドラマとしてテレビドラマの歴史の金字塔を打ち上立てた作品。このドラマの演出で有名な鴨下信一さんが2月10日に86で亡くなられた。
業界に入りたての僕はこのドラマの音楽制作アシスタント、、、まあパシリですね、してました。ですので鴨下さんにも打ち合わせ音楽レコーディングでお会いしています。
3ヶ月の連続ドラマ、毎週早稲田アバコスタジオでレコーディングしてた今では考えられない贅沢な時代。

鴨下さんは音楽担当の小川よしあきさんにも細かい注文を出していて、ディアトニークが、ドミナンテが、、と音楽用語で話されていたのを思い出す。
「ドラマのTBS」なんて言われる土台をつくられた方々が制作しています。

劇中音楽はジャニス・イアンの「WILL YOU DANCE ?」のインスト編曲と、中田喜子の律子役のところでもうひとつテーマモティーフがあったが、ほぼ淡々と感情移入を過多にしない音楽だった。全15話の後半にいくほど、劇伴すべてが「WILL YOU DANCE ?」の編曲になっていった。
どのシーンにもこの曲でいっちゃう・・・でも合う、、なるほどと思った。
当初は主演の八千草薫のテーマみたいな使い方だったのに、だんだんすべてこのメロディがドラマを支配した。
音楽制作的には面白くないが、映像との関係として興味深いことではあった。

物語は多摩川の氾濫を結末に、その前に一見平和そうな狛江に一軒家を構えた普通の家族が実は父は務めている一流会社が儲けを求め武器製造に走りそして東南アジアから女性を合法的に日本にこさせ夜の商売に売り、妻は不倫、賢い大学生の長女は外国人にレイプされ中絶、高校3年の長男は受験失敗に至り、わけわからない女の子と付き合い、その前に家族の秘密をぶちまけ家庭崩壊させ、自分は家を出る。そして家族が崩壊した時に多摩川が氾濫して家が濁流に飲み込まれまさしく家が崩壊する・・・いやいや山田太一原作脚本は当時としては画期的な話だった。
貞淑イメージの八千草薫さんが不倫!も凄いし、杉浦直樹さんの、家族を怒鳴り散らし長男を殴る、毎晩飲んでタクシーで帰る猛烈企業マンぶりも昭和な、、どこまでも昭和だ。女性の地位も、なんていう話が出る遥か彼方の時代。

ジャニス・イアンの「WILL YOU DANCE ?」はハバネラ調の素晴らしい曲で大ヒット、今でも活躍されているが、鴨下さん、プロデューサーの大山勝美、堀川敦厚、出演の八千草薫、杉浦直樹、竹脇無我、津川雅彦(敬称略)そしてなんと言ってもお世話になった音楽の小川よしあきさんもあちらの世界の住人、、、時代の流れを感じちゃいます。
ドラマの高校生や大学生役だった、国広富之、中田喜子、風吹ジュン、山口いづみさんらがほぼ僕の世代で活躍されているのが嬉しきこと。
カテゴリー: 映画音楽
(2021年01月11日)
投稿者:suoyon
カセットTheReader8440-2 (2)





The Reader

勝手に映画音楽のとてもとても興味深いシーン!

前にも紹介した『THE READER(愛を読むひと)』の冒頭から84分くらい
のシーン。

本を閉じ考え込むマイケルから、薄く音楽が入ってくる。
ニコ・ミューリーの音楽はほぼキャッチーなメロディ、過度な情緒的な
作風はなく、この微妙な雰囲気の音楽・・・緊張感がありソフトなサスペンス感、
疑問、不安を音色と途切れ途切れだったりの「間」を使ったフレーズで構成。

カセットの再生ボタンをハンナが押し、一方でマイケルが録音ボタンを押すところ
異なる時間軸を同じアクション合わせのようなカット繋ぎで編集、
ボタンを押した瞬間から音楽は一転、
Violin主体の弦楽セクションでの前向き感のあるリフレインフレーズになる。
このタイミングを選んだところは完璧。メリハリも生まれる。
いわゆるきっかけ合わせでの展開。

物語はカセットテープが送られ、
昔の恋人時代の感覚が蘇るハンナは表情も明るくなり、
マイケルのカセットへの朗読吹き込みはさらにさらに熱を帯びてくる。

朗読の声をダブらせた音の処理ありつつ、音楽もダイナミクスあがり、
独房で横たわりカセットを聴くハンナのカットでフルートとハープが残ったような展開、
再び弦楽、木管が鳴る。前半はクラリネット多用でここらあたりはオーボエ。
刑務所内図書室を訪れたハンナのセリフ「本を借りれます?」の直前で音楽終わり。
セリフきっかけでの音楽終わりは定番的な処理。

勿論トニックとかではない解決感終止のない終わり方がバッチリ。
複雑な微妙さを表現してるレベル高い劇伴奏音楽。
いわゆるメロディらしきもので展開する音楽ではないので、
一般には音楽を強く意識することはないかもしれないが、それほど映像への一体感、
余計な安っぽい情緒的旋律などで安易に済ませてない気がする。
やはり2000年代になって劇音楽のレベルはもう昔の単純なレベルにないものを
表現するようになった。

物語は殺人罪で服役しているハンナ(ケイト・ウィンスレット)は
18年前21歳年下の15歳のマイケルと恋人関係にあった。
ハンナは文盲のため恋人時代マイケルが本を朗読することをいつも
していたが、その後音信不通だったマイケルが服役してるハンナに朗読のテープを送る、
というシーン。

戦時中ナチスで仕事をしていて殺人罪になってしまったハンナと
それを知らずその後関係をもったマイケル、そして大人になりハンナは刑務所に・・・
ケイト・ウィンスレットがアカデミー賞主演女優賞。
体当たり演技、そして後半は老けメイクの凄さ!

写真はこのシーンの図解。
カテゴリー: 映画音楽
(2020年09月12日)
投稿者:suoyon
秋刀魚の味 (1)



映画のワンシーンにこだわる!!(勝手なシリーズ)

先日蓼科の「無藝荘」のことを取り上げたが昨日NHKで小津安二郎ドキュメント
やってて「無藝荘」が出てきた。なんという偶然!
また戦後、小津作品は家族を描いたドラマに徹した理由なども描かれ良かったです。
いつも同じような題材でオリジナリティを否定するような・・オリジナリティを超えた
ような哲学的な境地に立った感じで作品を作り続けた小津監督。

そこに至ったのは本人自身の戦争体験だったようだ。
小津は1937年に始まった日中戦争に招集され仲間が死んだり殺される現場を
目の当たりするという悲惨な体験をしている。
しかし戦争を題材にすることはなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『太陽の子』は戦争中の若き研究者を描いたものだったが・・・戦争映画ではないが
『秋刀魚の味』(監督:小津安二郎 脚本:野田高梧、小津安二郎 1962年松竹)の
バーのシーンのやりとりが軽妙ながらとても好きなシーンだ。
このシーンに小津が戦争を描かなかった理由が凝縮してウィットに富んだ
軽妙なシーンで戦争を批判しているかもしれない。
笠智衆と加東大介のやり取りのシーン。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

時代は戦後の1960年代はじめ。
戦時中海軍の駆逐艦の艦長だった平山(笠智衆)は部下だった坂本(加東大介)に
偶然会う、そして坂本行きつけのトリスバーでウィスキーを飲んでいる。

坂本「けど艦長、これでもし日本が勝ってたらどうなってますかねえ」
平山「さあねえ」(中略)
坂本「勝ってたら艦長、今頃(中略)ニューヨーク、パチンコ屋じゃありませんよ、
ほんとのニューヨーク、アメリカの」
平山「そうかねえ」(中略)
坂本「負けたから今の若い奴ら向こうのまねしやがってレコードかけて
ケツ振って踊ってやすがねえ」
「これが勝っててごらんなさい、勝ってて・・・
目玉の青い奴らが丸まげかなんか結っちゃってチューインガム噛み噛み三味線弾いてやすよ~」
「ざまあみろってんだい!」

平山「けど負けてよかったんじゃないか?」

坂本「そうですかねえ、、、うむむ、、」
「・・・・そうかもしれねえなあ」
「バカな野郎がいばらなくなっただけでもね」
「艦長、あんたのこっちゃありませんよ、あんたは別だ」
(中略)
そこへバーのマダム(岸田今日子)が銭湯から帰ってくる。

坂本「今時分フロ行くやつあるかい!」
「今日はお客が少なかったからよ」と、
ちょっと色っぽいマダムに平山は亡き妻の面影を感じて魅入ってしまう・・・・
そして「軍艦マーチ」が流れる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

きっと戦争に行った者にはノスタルジーな音楽であり、
威勢のいいマーチが逆に平山には悲しいとも言えるムードを醸し出す。
音楽の役割って面白い。
威勢のいいマーチが心情的に悲しく響くっていうことだ。
この曲はエンディングでも劇伴アレンジされ(音楽:斎藤高順)、
娘を嫁に出した父の寂しさをフォローする役割を果たしている。

ここで戦争を個人のレベルでの思い、思想とかイデオロギーとかじゃなくて、
一庶民の感じたカタチでさりげなく日本の戦争を批判しているかもしれない。

笠智衆の存在感、加東大介というオンリーワンな個性派な脇役が、
江戸っ子調の言い回しがめちゃリズムがよく、いい味出している。
銭湯に行ってたバーのマダム、なんていう設定も昭和の当時ならでは。
洗面器抱えて岸田今日子が妙に色っぽい。

カメラワークは切り返し中心にフィックス。パンや移動、ズームアップなどの動きは一切ない。
切り返しが多いということは実際に会話していなかったりするので、
俳優は繋がりの良い演技を求められる。
照明セットの変えもあり時間かかる撮り方。
そして一見普通の会話ながら感情が抑制されたセリフで構成されている。
熱演みたいにならないので普通っぽく思われるが実は演技が上手くないと繋がらないと思う。
長回しはないし。(そっち_撮影演出_の専門ではないので、たぶんちょっと違うんだよなあ、でしょう)

信州蓼科の「無藝荘」で小津監督と野田高梧が書き上げた作品。
主演の笠智衆の娘役が若き岩下志麻(たぶん20歳)で初々しくキレイ。
杉村春子、東野英治郎、という新劇系の実力脇役陣の演技が素晴らしいし、
イケメン佐田啓二(中井貴一の父)、その若き妻役に岡田茉莉子(たぶん28歳)
・・・小津調のきちっとした演出の中で岡田茉莉子が全く自由な雰囲気でカワイイし柔らかい演技が見もの。

バーでのシーン
https://www.youtube.com/watch?v=YKvx2Ip2Qvk

衣装に触れたサイトもあって興味深い
http://cineyoso.movie.coocan.jp/sanmanoaji.htm
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