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August 2022 の投稿一覧です。
カテゴリー: 音楽
(2022年08月07日)
投稿者:suoyon
Speak No Evil






やっぱりWayne Shorterがいい!

1969年頃、高校生だったがジャズを聴くようになっていて
同じような同級生4人でいろんなアルバムを貸し借りして聴いた。
その前、中学の頃ラジオで「ナベサダとジャズ」という番組が始まり、応募してその公開収録に行き
ちょいジャズに傾いていた。
渋谷のヤマハで年に2回くらいかなあ、ジャズの輸入盤レコード(勿論アナログ盤の時代)の
バーゲンを開催していて、僕たちは仲間4人でよくヤマハに通った。50年経ってると思うとおそろしや!
当時日本盤は2500円程で輸入盤のバーゲンは数百円から1000円~2000円だったような。
このバーゲンでジャズのレコード収集に励んでいた。

仲間のひとりがWayne Shorterの「Speak No Evil」を買った。
その数日後にその友人から「良かったよ」っていう話が返ってきた。
ショーターはマイルス・バンドのサックス奏者で知ってはいたが、ソロは
どうなんだろう、という疑問があったが、聴いたらめちゃよかった。
勿論モード・ジャズのこともなんにもわかってない頃だ。
ここから現在に至るまでWayne Shorterをご尊敬申し上げる、ということになっている。

「Speak No Evil」(1964)は6曲すべての曲作りが素晴らしい。それも普通の
従来のバップ的なムードではなく、勿論エヴァンスのようにスタンダード曲の
ジャズ化でもなく、全部ショーターの作曲。
どこかブラックマジック風味だったりで、完璧なオリジナリティがあり、
でもメロディの作り方にスムースさや歌心があって、いわゆる楽器奏者にありがちな奏法的な
仕掛け曲ではなく完全に作曲家というビジョンを感じる。
サックスやトランペットのアレンジも考えられている。
以前紹介した「緑のショーター」って言われてる「スキツォフレイニア」も
ブラスのアレンジが素晴らしい。
ハンコックも実はショーターの影響があり「あのバンドでの最高の作曲家、
マイルスが一言もケチつけないのはショーターの曲」と言ってるくらい凄い。
マイルスはバンドの音楽ディレクションはショーターに任せていた。
またショーターのソロ・アルバムでのピアノはハンコックかマッコイ・タイナーだが
やはりハンコックのほうがモードに対するキメが細かさが好きだ。
ショーター、ハンコックら当時新主流派と呼ばれた若手たちのモード・ジャズが全盛期と言える。
残念ながらビル・エヴァンスはモード追求はやめちゃってスタンダード曲のジャズ化で
聴きやすいピアノ・トリオだったので。
ピアノトリオはアンサンブル的な妙味はさほどない。
ピアニストが良いか悪いかにかなりの重点がおかれるけど、やはり管楽器はいい。
当時サックスではジョン・コルトレーンという大巨人がいるが、勿論アルバムによっては好きだが、
アンサンブル重視ではない「オレについてこい」タイプ。
おそらくコルトレーンは伴奏陣とのアンサンブルなんかあんまり関係ないと思う。
または神がかっちゃった雰囲気がちょいね、、、
マイルス・バンドはアンサンブルの妙味凄いしね。やっぱりショーター派なんですワ。

1960年代というとモード・ジャズともうひとつの柱がアヴァンギャルドなフリージャズだった。
だからショーターのこの時代のアルバムもB面最後の曲はだいたいアヴァンギャルドだが、
このアルバムに関しては全曲まとも!
まともって、そ、そ、そのフ、フリージャズが
まともじゃないって言ってはいないけど、、、まあ言ってるか。
一応、オーネット・コールマン、ドン・チェリー、アーチー・シェップ、アルバート・アイラー、
セシル・テイ・ラー、カーラ・ブレイ、JCOA、ハン・ベニンク等アルバム聴いてました。
チック・コリアもアンソニーブラックストンとのCIRCLEはアヴァンギャルドですね。
それもアルバム買って聴いてました。でもやっぱモードのほうがいい。

しかし1960年代末に高校生で流行の歌謡曲に目もくれず「Speak No Evil」がいいね、
なんて言ってるうちらの将来、やはりウレセンからは遠ざかるかあ・・・
カテゴリー: ミュージシャン
(2022年08月01日)
投稿者:suoyon
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ビル・エヴァンスの特集を地上波のテレビでやってたのは驚き。
さすがNHK-ETV。
中身は、ジャズピアニストなのにクラシックの影響が強い、
ということに重点が置かれてた気もした。
エヴァンスのジャズの方の影響も追求して欲しかったけどね。
モード手法のことも出てきた。
ただエヴァンスさんはマイルスとの「So What」(1959)でモードを
提示しながらその後の自分のピアノトリオではほぼモードはやってない。
ライヴ(稼ぎ場所)がほぼ夜のジャズクラブだったので、酒飲み相手にはアートな
モード・ジャズよりスタンダード曲の解釈のほうが酒のつまみになったのか、
なんて思っちゃう。
マイルスも自分のバンドに白人のエヴァンスを入れたのは
1959年当時としては偉いことや。

エヴァンスの左手をと右手を見てるとあまり離れないポジションが多い。
つまり左手の重低音と右手の高音での派手な表現がない。
内省的で知的。それまで(1950年代後半)ジャズというと
黒人、ブルージィ、バップだったが、そういったことを全く変え、普通の人々の日常性みたいな
感覚を持ち込み大げさな表現もない。オレがオレがという感じもなく、
ベースとのインタープレイという言葉が生まれた。
ジェレミー・スタイグやジム・ホールとのデュオも良い。
ジョージ・ラッセルと実験的なことも一応やってる。
ジャズって演奏家の自由な演奏表現が音楽変革をもたらし
歴史を作っちゃうところが面白い。

派手なオスカー・ピーターソンなんかと真逆のセンス。
ハンコックもコリアもエヴァンスがいたから、ちゅうのあるんでしょうね。
1973年に芝の郵便貯金ホールでのコンサートを観に行ったが、その日の演奏が
「Live in Tokyo」になっているのがなんか嬉しい・・僕の拍手も入ってる!

写真のアルバム『Waltz for Debby』の中の「Waltz for Debby」は聴きやすい
ので名曲名演奏となっている。入門的なアルバムかも。
僕はヴィレッジヴァンガードとか、モントルーのライヴとかいろいろ好き。
ベーシストのスコット・ラファロ作曲の
「Gloria's Step」はUpper Structure Triad(上部に非機能的な3和音を堆積)
の使い方などで講師仕事の題材にも使い、お世話になってます!
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