無藝荘外観8:2020

無藝荘の中の部屋


信州、蓼科湖近くの無藝荘。

ここは蓼科高原にある無藝荘。
日本を代表する映画監督故小津安二郎の仕事場であり山荘。
1954年に脚本家の野田高梧の山荘「雲古荘(うんこそう)」を訪れた
小津監督は蓼科が気に入ってその後雲古荘の近くの
この無藝荘で野田高梧と映画のアイデアを練り脚本を完成させる。
1本の脚本を完成させるのに相当数の
日本酒「ダイヤ菊」が空になったらしい。

蓼科湖辺りは標高1300mくらいあるので夏も涼しい。

ここに籠もりつつも現地の住人と交流したり、
東京から来る松竹映画など業界人をもてなしたりの日々もあったようだ。
その影響からか俳優笠智衆さんも近くに別荘を構えたらしい。
普段小津監督はは北鎌倉に住んでた。

小津監督の映画は戦前のサイレント時代の傑作『生まれてはみたけれど』、
『東京物語』遺作の傑作『秋刀魚の味』といつも日本の家族を描き、素晴らしい作品。
『東京物語』や『秋刀魚の味』など20代の時は登場人物の子供のほうの立場で
見ていたのが今見ると親のほうの気持ちで見れたりしていて・・・時が経っちゃった。

『東京物語』などいかにも日本的と思われるが実は小津監督はアメリカ映画からヒントを
得てそれを日本に置き換えてたりする。まあ普遍的な人間、家族といったことなのでしょうか。

2012年に英国映画協会の「史上最高の映画ベスト10」で映画監督が選出する部門で
『東京物語』が第1位に選ばれた。
海外のインテリ、アート系には小津の評価は高い。
黒澤明監督がスピルバーグ、ジョージ・ルーカス等の超エンタメ巨匠にリスペクトされ、
小津監督はヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュ、ジュゼッペ・トルナトーレ(ニューシネマパラダイス)、
候孝賢、ドーリス・デリエなどに敬愛されているようだ。